声優が語る、意外な映画業界の実態とは?平川大輔さんインタビュー

SAYA ギャルラッパー兼インタビュアー

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どうも、SAYAです(*´ω`*) 今回は、多くの人気アニメを始め、超大作映画や海外ドラマなどの吹き替えも担当している声優、平川大輔さんをインタビューさせて頂きました。

吹き替え作品で気を付けている点

アニメだけにとどまらず、『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役や『パイレーツ・オブ・カリビアン』のウィル・ターナー役など、幅広くご活躍されている平川さんですが、吹き替え作品において気を付けている点はありますか?
キャラクターを担当させて頂くことに関して、吹き替えもアニメも大まかなことは変わらないんですけど、吹き替えでは生きている人間が喋ってることを吹き替えることになるので、当然呼吸をしていますよね。ため息や喋る前の大きな息などもあります。なので呼吸の浅さや深さだったり、どういう意味合いの呼吸なのかを考えています。
なるほど。とても深いですね。
元々一つの作品としてすでに完成されているものなので、画面の中の俳優さんが何を考えているのだとか、どういう役割を担っているのかっていうのを考えて、どういう風にお芝居をしたのかなどもできるだけ拾えるようにしたいなと思っています。
では自分のキャラというよりは、寄せていく感じなんですね!役者さんの出したかった部分をいかに日本語で表現するかとか。
そうですね。どうしても英語と日本語って主語述語の順番が違いますし、あとボディーランゲージや表情にしても日本人より大きいので、それを翻訳して頂いた日本語の台詞でどう表現していくかとか。やっぱり向こうの俳優さんありきでとらえています。できるだけ演者さんに寄り添えたらと思ってます。

アニメと吹き替えの違いについて

アニメと吹き替えの大きな違いみたいなものってありますか?
僕らが外国映画や外国ドラマを吹き替えさせて頂く時は基本的には音楽も効果音も入っている状態なので、そういったところからヒントを頂ける部分もあります。
ふむふむ。
一連で演者さんはお芝居をされていくと思うんですけど、編集の兼ね合いでバッとカットが変わってしまったり、呼吸が自然のものとは変わってくるところもあったりするので、どっちを生かしてどっちを捨てるかみたいなことを考えたり。
そんな細かいところまで考えているんですね。
自分たちの中で考えて現場に持って行って、ジャッジはディレクターさんがしてくださいます。最終的に「その息アドリブはいらないよ」って言われることもあるんですけど(笑)。
そういったこともあるんですね!(◎_◎;)
意味のある呼吸だったら良いんですけど、見てくださる方たちが気になってしまったりっていうこともあるかもしれないので。なので「このシーンにおいてはこの呼吸は捨てていこうか」などと現場でご相談させて頂いたりしています。
アニメについてはいかがでしょうか?
アニメは僕らが収録する時は基本的に絵がほとんどないので…
えっ声が先なんですね!
あるといっても絵コンテみたいなものが流れてくるだけのことが多いですね。
アニメはアニメでいろんなジャンルがあるので一概には言えないのですが、アニメは絵なので呼吸をしていませんから、呼吸を作ってあげるのも僕らの仕事なんじゃないかと思っています。それから展開が凄く早いのでそれに合わせられるように心がけています。
確かに、実写でなくて絵ですもんね。
頂いたキャラクターを自分の出来うる限りで生かしてあげたいなと常に考えているつもりです。

事前に予習をする、超努力家!

原作も事前に結構チェックされるとお聞きしましたが?
そうですね。あるものは大体読むように心がけているんですけど、それは単に僕が臆病なだけで、できるだけ情報という武器が欲しいというか。原作を好きな方も見てくださると思うので、できるだけ原作の雰囲気だったり匂いやテイストを自分に落としこめたらと思い、できるだけ読むようにさせて頂いています。
基本はアニメに関しても吹き替えに関しても、元あるキャラに寄せてくっていうことなんですね。
でも、それができてたらOKかっていうと、それだけじゃないと思うんです。それはみなさん当たり前にできていることなので。やっぱり「じゃあ何で僕は呼ばれた?」っていう部分で、「この役を平川につけて良かった」って思ってもらえるよう爪痕は残していかないといけないですから。他の誰でもなく僕を呼んで頂いた意味は何かしら残していかないといけないなって。役に寄り添いつつも、平川だから出せた味みたいなのが表現できたらいいなって思ってます。それが凄く難しいんですけどね。
確かに、そのキャラに合わせつつ個性を出すのってすごく難しそうですよね。
前にディレクターさんに「一見すごく優しそうに見えるんだけど、実は頭おかしくて変態っていうか、そういうのが平川君は面白いよね」って言って頂いたことがあって、凄く嬉しくて(笑)。「ありがとうございます!ぜひそういう役があったらお願いします」って言ったんですが、「うーん、でもそういう役あまり出てこないんだ〜(笑)」って言われてしまって(笑)。

実はホラーが苦手!?

結構サスペンスやホラー系の映画にも携わられているイメージなのですが、実はホラーは苦手なんですよね?
怖いものは苦手ですね(笑)。海外のホラーでよくある、音がドーン!バーン!っていうのが苦手なんです。
海外のホラーの方が苦手なんですね!
いえ、日本のホラーの方が苦手で、日本のは全然見ないんです。というか見られない(笑)。怖いんですよね。
ではお化け屋敷なんかも苦手ですか?
絶対近寄らないです!大体夜中に台本をチェックしているのですが、次にこの効果音がくるとか分かっていても、「うー」ってなったり(笑)。
私も結構ホラー映画が好きでよく見るのですが、『SAW2』『デッド・コースター』『スクリーム』『ドーン・オブ・ザ・デッド』など、結構怖い映画に出ているイメージだったので凄くびっくりしました(笑)。
クライムサスペンスとかそういうのは全然怖くないし好きなんですけど、突然脅かされるのが苦手なんでしょうね。でも出演させて頂いたホラー作品では結構派手な死に方してるのが多いかも(笑)。
確かに、亡くなる役が多いイメージです!(◎_◎;)(笑)。
「ホラーに出ると一番最初に死ぬ男役」の自己記録を一時期更新していました(笑)。
よくあるのはカップルが車の中でイチャついてると殺害されてしまって、そこからタイトルコールみたいな。本編に絡めない(笑)。その後、いろんな兼ね役をやってましたけどね(笑)。
私が昔やっていた「マリア2」というゲームでも、慈愛堂病院の警備員さんの役をやられていて、最後亡くなられてゲームのキーパーソン的な存在になっていた気がします!
プレイしてくださったんですね!ありがとうございます!

最も印象深い作品について

平川さんといえば非常に多くの作品に携わられていますが、最も印象の深い作品やキャラクターといえば?
やはり『ロード・オブ・ザ・リング』とか『パイレーツ・オブ・カリビアン』とかが印象深いですね。オーディションを受けさせて頂けた時は本当に新人で、「何で呼んで頂けたんだろう」と思うぐらいで。でもあの作品がなかったら、きっと今この仕事を続けられてなかったと思うし、ターニングポイントであってとても大切な作品です。
誰もが知っている超大作ですもんね。
ハリウッドの超大作で、オーランド・ブルームさんが演じる役をやらせていただいた作品です。これがきっかけでオーランド・ブルームさんの別の作品でもいくつか担当させていただいたので、オーランド・ブルームさんには足向けて寝られないですね(笑)。
ではそれまではオーディションを受けていたということですか?
オーディションもそんなに受けてなかったです。デビュー後も基本的にアルバイトで生活をしていて、『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』をやらせて頂いた時もまだアルバイトで食べてましたし、30過ぎてちょっとしてやっとこの仕事で食べられるかなぐらいになったので。
そうだったんですね!(◎_◎;)それは驚きました。
レゴラス役をやらせていただいた時も、「誰こいつ?」みたいなレベルで、そこから違うお仕事に結びつくっていうのはあまりなかったです。「ペーペー」の「ぺ」の丸ぐらいの頃だったので、音響監督さんに粘り強くダメ出しをして頂きました。ぶっちゃけ緊張しすぎて1作目はあまり覚えてないんです。2作目で、「お前前回そんなじゃなかった」って言われたらどうしようって思ってました(笑)。

エルフ語について

『ロード・オブ・ザ・リング』でエルフ語を使うシーンがあると思うのですが、架空の言語を使うにあたって苦労された点はありますか?
エルフ語は著者のJ・R・R・トールキンさんという方が言語の研究に熱心で、古代のヨーロッパの言語から作中の種族の架空の言葉をお作りになったんだそうです。文法がきちんと作られていて、ちゃんと一つの言語として成立しているんだそうですよ。僕が収録させていただいた時も、大学の教授の方が教えに来てくださいました。僕らはカタカナで書かれている台本を見つつ、原音を耳コピしたり、教えていただいたものを耳コピして収録していました。

最も印象深いキャラクターについて

凄い徹底しているんですね!では今までで一番印象深いキャラクターといえば?
レゴラスと、ウィル・ターナー、そして『エリザベスタウン』という作品のドリュー・ベイラーでしょうか。同じオーランド・ブルームさんだけど、見た目も性格も全く違う役だったので、僕自身も演者としてたくさん勉強させて頂きました。
アニメで一番印象深いキャラクターといえば?
『巌窟王』という作品のフランツという役でしょうか。とても素敵な役だったのと、アニメでメインに近い役をやらせて頂いた初めての役だったので印象に残ってます。やっぱりアニメにしても吹き替えにしても、苦しんで苦しんで産んだ子たちなので、どの子も可愛いんです。

自宅での映画の鑑賞方法はこれ!

ご自宅では映画やドラマをどんなシチュエーションで見られますか?
海外ドラマだと、「これ絶対見る」って思った作品は、録画して家でじっくり見るんですけど、それこそFOXチャンネルさんとかってずっと海外ドラマが流れてるじゃないですか。そうすると結構流しっぱなしにしています。でも字幕版だと、音だけでは何言っているか分からないので、ついやっていたことの手を止めて見入ってしまったり(笑)。吹き替え版だと「あ、この声は誰々さんだ」とか分かってしまうので、「チキショーうまいな」って悔しがることが多いです。
本当に凄く謙虚で素敵です!では今のお仕事をされる前から映画が好きだったのですね。
子供の頃に地上波で海外ドラマがたくさんやっていたので、それを見ているのが好きでした。背中を向けてて口が見えない状態だと日本の吹き替えの方がアドリブを入れてたりとか(笑)。子供の頃はそれがアドリブだと分かって見ていたわけではなかったんですが、今考えたり、見直してみると「あそこってそうだったんだろうな」って思ったり。
それはまた違った視点で見れて面白そうですね!
出演されているのは、今でも第一線で活躍されている、僕にとっては憧れのレジェンドみたいなベテランの先輩方ばかりですからね。すごく魅力的なお芝居をされていて、そりゃ子供が見てても面白いわけですよ。

女性と見るなら?

女性ファンも多い平川さんですが、女性と見るとしたらどういったものが良いですか?
すごい極論を言うと、女性と見ないですね(笑)。映画もドラマもそうですが、その作品に没頭して見てしまうので、 途中でいなくなられても分からないかも(笑)。
(笑)。最後に何か宣伝や告知があれば教えてください。
Dlifeさんでつい先日までオンエアーしていた『殺人を無罪にする方法』。今年オスカーで助演女優賞を受賞したヴィオラ・デイヴィスさんが主演のリーガルクライムサスペンスで、僕は彼女の下で学んでいるゲイの青年の役をやっています。お色気担当です(笑)。DVDもシーズン2まで発売されている、是非ご覧いただきたい作品です!
チェックさせて頂きます!本日はお忙しい中ありがとうございました。
ありがとうございました。

平川 大輔(ひらかわ だいすけ)

声優、ナレーター。アニメ、ゲーム、ラジオ、そして洋画や海外ドラマなどの吹き替え業でも活躍中。『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役や『パイレーツ・オブ・カリビアン』のウィル・ターナー役など、オーランド・ブルームやチャン・グンソクのほとんどの作品を演じている。WEBラジオ『平川大輔・武内駿輔のキミキリ☆ラジオ』のメインパーソナリティとしても活動中。

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キャスティング協力:株式会社ベストポジション