『ウォーキング・デッド』を始めとした、ゾンビが登場する物語。どの作品も恐怖を感じられ、それぞれのゾンビの良さが目立ちますよね。JALEE編集部でもゾンビドラマ・映画についてオススメ作品を紹介し合ったりしています。そんな中、編集部の1人が口にした疑問が印象的でした。
「そういえばゾンビって昔より、素早くなってない?」
そう、昔のゾンビは皆、足を引きずりながら歩いていたはず。まさに動く死人といった印象がありました。しかし、最近の作品ではなんだか全体的にアクティブなご様子。一体いつごろの作品から、生き生きとしたゾンビが主流となったのでしょうか?元気なゾンビが活躍する、過去の作品を振り返ってみます。
先駆けは1980年の映画『ナイトメア・シティ』
恐らく、初めて全力で走るゾンビを描いた作品。「ゾンビ(おじさん)が飛行機で襲来」という斬新なストーリー展開で、当時から話題となりました。走る、殴る、そして撃つ!ゾンビたちの大量殺戮劇場は、もはやゾンビ映画というよりアクションの域。
ゾンビの数が多すぎて特殊メイクが追いつかず、なんだか雑な仕上がりになってしまったというこの映画。そこまでメジャーにはなりませんでしたが、一部のゾンビファンからは高い評価を受けています。1980年のリリースとかなり古い作品ではありますが、見れるチャンスがあれば、ぜひチェックしてみてください。
「走るゾンビ」を確立させた名作、『バタリアン』
ゾンビ作品の金字塔、ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』のパロディ映画である本作。1985年に公開され、大ヒットしました。
頭を撃っても死なない、燃やしてもそのガスが元で新たなゾンビが生まれる。しかも、ゾンビと会話ができるし、時に人間をも騙す。そして全力疾走。今までのゾンビ像をことごとく打ち破る、先駆け的な作品だったと言えます。
従来の方法でゾンビを殺せず、「映画と違うじゃないか!」と叫ぶシーンも有名。
『28日後…』は、今までにない俊足を見せつけた傑作
2002年公開の映画『28日後…』はとにかく俊足!なんとゾンビのキャストには陸上選手を起用したとかで、圧倒的な速さを楽しむことができます。
感染源は凶暴化したチンパンジー。感染すれば足が速いだけでなく、バットで殴っても死なないほど強くなってしまいます。しかも、ゾンビとして凶暴化するまでにかかる時間はなんと1分未満。俊足とは違った意味でのスピード感も魅力です。
この映画のヒットを境に、「走るゾンビ」もしくは「アクティブなゾンビ」は完全に定番化したと言えそうです。例えば漫画および映画で人気を博した日本のゾンビ作品『アイアムアヒーロー』でも、ZQN(ゾンビ)がもの凄い速度で走り、這いずり、果てにはドアをも食い破るほどの勢いを見せつけます。陸上選手ゾンビもアウトレットモールで大活躍していました。
ゾンビはあくまでゾンビというキャラクターであって、腐った死体ではないという考えが根付いたのでしょう。
走らなくても怖いぞゾンビ
ところで『ウォーキング・デッド』や『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』に出てくるゾンビ(ウォーカー)たちはと言えば、だいたい競歩くらいのスピード感ですね。それほどの速さがないにも関わらず、なぜあんなにも恐ろしいのでしょうか?
その答えは、「数」の暴力。
ゾンビたちが群れをなして迫ってくる様子は、古典的とはいえやっぱり不気味なものです。銃弾が補充できない、弾数が足りない。そんな中を生き残らなければいけない絶望感こそ、ゾンビ映画の真骨頂ですよね。逆に言えば、予算の都合で数を出せないときに、スピードで勝負しているのかもしれません。『ウォーキング・デッド』は、その点ゾンビにもしっかり予算配分されているため、画面中ゾンビの絶望感を楽しませてくれます。
そんなゾンビ作品の醍醐味である絶望感に加えて、アクション的ハラハラ、サスペンス的人間関係まで楽しめる『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』シーズン2。毎週月曜日夜21時ほかより、FOXチャンネルで放送中!(詳細はこちら)