今、ヘルシー志向のL.A.で大人気!スターが経営するレストラン

JALEE編集部

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 ハリウッドセレブの店は、昔からL.A.に数多くオープンしてきた。だが、最初こそ物珍しさで客がやってきても、味やサービスに欠け、消えていくことがほとんどだ。ケビン・コスナー、ジェニファー・ロペス、エヴァ・ロンゴリアらが出した店は、どれも残っていない。アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、シルベスタ・スタローンの三大アクションスターが組んだプラネット・ハリウッドも、2度倒産。世界に100店舗あった店は8つが残るのみで、ほぼ忘れ去られている。

 だが、ここ2ヶ月の間にL.A.にオープンした2軒には、長続きしそうな予感をおぼえる。

 ひとつは、映画『マチェーテ』のダニー・トレホ(写真下)がオープンしたドーナツ屋“Trejo’s Coffee&Donuts”。L.A.のトランスジェンダーを描く映画『タンジェリン』を見た人なら、主人公ふたりが入り浸っていた昔ながらのドーナツ屋を覚えているだろう。あの店が潰れ、その場所に新しくオープンしたのが、このずっとモダンで洗練されたドーナツ屋だ。
(住所:6785 Santa Monica Blvd, Los Angeles, CA 90038 アメリカ合衆国)
 


Trejo’s Coffee & Donuts公式Instagramアカウント(@trejosdonuts)より


Trejo’s Coffee & Donuts公式Instagramアカウント(@trejosdonuts)より
 
 マッチョでちょっと怖そうなルックスとは裏腹に、トレホの趣味が洗練されていて、L.A.のヘルスコンシャスな人の好みを完全に理解していることは、昨年彼がオープンしたタコス屋でも明白だった。この店にも、ビーガン(完全菜食主義者)向けのメニューが5種類ほど用意されている。ほかにも、テキーラとライムを使ったマルガリータや、メイプルシロップとベーコンのメイプル・ピッグなど、グルメな響きのフレーバードーナツが多数。彼がメキシコ系であることを反映して、メニューにはチュロスもある。コーヒー豆も、彼のオリジナルだ。

 5月のオープン以来、毎日行列で、せっかく行っても売り切れということも。やはりカジュアル食であるタコス屋のほうも、つい最近、3軒目がオープンしており、トレホはL.A.でカジュアルグルメのブランドとして成長していくのではないか。

 もう一軒は、FOXでも放送中のドラマ『NCIS:LA』主演のクリス・オドネル夫妻がオーナーのナポリ風ピザリア。 L.A.にカップケーキ旋風を巻き起こした“Sprinkles Cupcakes”の創設者キャンディス&チャールズ・ネルソン夫妻も共同オーナーで、デザートはキャンディスが手がけている。
(住所:11712 San Vicente Blvd, Los Angeles, CA 90049 アメリカ合衆国)
 


Pizzana公式Instagramアカウント(@pizzana_la)より
 
 エクゼクティブ・シェフは、かつてオドネルのパーソナルシェフを務めたダニエル・ウディティ。南イタリア出身のウディティは、トマトやモッツァレッラも現地から調達。アメリカではピザ屋にとってテイクアウトは大きなビジネスだが、最高の状態で食べてもらうために、この店ではお断りだ。だが、グルテンフリーの生地をリクエストできたり、ビーガンに対応したりしているところは、さすがにセレブの世界にいる人たちである。

 つい最近、L.A.TIMES紙のレストラン批評家で強い信頼を受けるジョナサン・ゴールドに大絶賛されたことで、ますます話題になった 。今の混雑ぶりがひと段落してからも、クオリティと比較的リーズナブルな値段を貫けば、セレブも多く住む高級住宅街ブレントウッドでは、お金持ちが台所がわりに行くような定番店になるかもしれない。 結局のところ、生き残るのは、美味しくて、何度も行きたくなる店なのだ。

 
 

猿渡由紀/L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、日本のメディアに寄稿。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。