暑い夏をさらにアツくする! 鋼の漢、シルヴェスター・スタローン映画 5選

大石直人

1993年生まれ。少しでも映画やドラマを見る際に参考となる記事が書けるよう頑張ります。

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皆さん、この夏はいかがお過ごしでしょうか?

夏は海水浴やお祭りなど楽しい納涼イベントが盛りだくさん。しかし、あえて暑苦しい映画を見るのもまた一興ではないでしょうか。

今回は、暑さを倍増させるシルヴェスター・スタローン映画を5作品紹介します!

1.『ロッキー(1976年)』

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まずご紹介するのは、彼の出世作となった『ロッキー』シリーズの第1作。

無名のボクサーであるロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)が、ひょんなことがきっかけで、世界チャンピオンと対戦する物語です。ロッキーが努力と信念を貫き、スターへと駆け上がる姿は、アメリカ国民を熱狂させました。

シルヴェスター・スタローンは1946年生まれの俳優ですが、監督・脚本家としての顔も持っています。この映画ではスタローンが自ら脚本を書き下ろし、映画会社との交渉の末、主演も務めました。当初は少数館でしか上映されませんでしたが、徐々にその人気は高まり、第49回アカデミー賞や、第36回ゴールデングローブ賞を受賞。2006年には、アメリカ議会図書館に永久保存されるという、アメリカ国立フィルム登録簿に新規登録されました。

この作品でスタローンはアメリカンドリームを体現したのですが、その時代背景にも注目をしたいと思います。それは、1975年にようやくベトナム戦争が終結したこと。その翌年に公開されたのがこの『ロッキー』でした。ベトナム戦争は、文化や社会に多大な影響を与えました。たとえば、ヒッピー文化を形成する発端となり、また映画においては、アメリカン・ニューシネマと呼ばれる映画史的な潮流を生み出しました。これらは、国家の侵略的な態度に対するアメリカ国民の否定の表明でもありました。そしてこの作品の登場は、怒りと自由そして平和への欲求を育んでいたアメリカ国民に多くの希望を与えました。それは同時にアメリカが長きに渡り陥っていたペシミズム(悲観主義)からの脱却を示唆しています。つまり、この映画はアメリカに希望的観測をもたらしたという意味でも重要な一作なのです。

2.『オーバー・ザ・トップ(1987年)』

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1987年に公開された『オーバー・ザ・トップ』は、アームレスリングを題材とした、親子の絆の再生をテーマとした物語です。

80年代に数々のヒット作を連発し、プロデューサーとしても活躍しているメナハム・ゴーランが監督を務めています。スタローンが共同で脚本を担当しています。

この映画の見所は二つあります。一つ目は、アームレスリングならではの肉体と肉体のぶつかり合いです。「血湧き肉躍る」とはこのことかというほど、熱い戦いが繰り広げられます。実際のアームレスリングのシーンは、殴り合いや銃撃戦といった激しい描写はなくとも、鋭いカットバックやスタローンの表情により苛烈な熱気を生み出しています。さらに、脇役として実際にプロレスラーとして活躍していたテリー・ファンクや、アームレスリング全米選手権での優勝経験を持つスコット・ノートンらを据えたことで、物語世界の説得力を高めています。

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二つ目は、スタローンの俳優としての成長にあります。本作の主人公リンカーン・ホーク(シルヴェスター・スタローン)はロッキーとよく似たキャラクターですが、ロッキーと大きく異なるのは、父性の存在です。ロッキーはエイドリアンの助けを得ながらも、あくまで自分自身のために再起を図りましたが、ホークは自分よりも子供のために再起を図ります。ホークの息子に対する愛情がひしひしと伝わってくる本作で、スタローンは俳優としての父性を獲得したと言えるでしょう。

3.『コップランド(1997年)』

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1997年に公開された『コップランド』は、ニュージャージー州ギャリソン群、コップランドと呼称された、警官ばかりが住む町を舞台にしたサスペンスドラマです。

主人公のフレディ・ヘフリン(シルヴェスター・スタローン)はニューヨーク市警で働くことを願いながらも、左耳の聴覚障害により叶わず、保安官としてスピード違反の取り締まりなどの仕事をこなしていました。そんな時、警官の不正が発覚し、徐々にコップランドの闇が露見していきます。ロバート・デ・ニーロやハーヴェイ・カイテル、レイ・リオッタといった稀代の名優が集結し、男たちの欲望と裏切りのからくりを克明に描写しています。

この作品はなんといっても登場人物全員の面構えが渋く、男たちの“顔芸”に魅了されます。コップランドを支配するレイ・ドンランを演じるハーヴェイ・カイテルは、アベル・フェラーラ監督作品などでもその顔芸が見られますが、本作でも憎らしいほどの悪役を演じています。ヘフリンの友人で警官のゲリー・フィッグスを演じるレイ・リオッタも『グッドフェローズ(1990年)』での強烈な印象そのままに、本作でも顔面を使った芝居を披露しています。

ロバート・デ・ニーロはニューヨーク市警内務調査班の監察官、モー・ティルディンを演じ、インテリジェンスな振る舞いの奥に潜む情熱を見事に表現しています。そしてなにより、不器用ながら不正と戦うスタローンの姿に胸を打たれます。

4.『エクスペンダブルズ(2010年)』

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こちらは、ド迫力のアクションで有名な『エクスペンダブルズ』シリーズの第1作。

本作は筋肉、筋肉、また筋肉ととにかくマッチョな男たちが勢揃いしたマッチョイズム全開の娯楽大作です。

本作でもスタローンは監督、脚本、主演を務めています。共演は、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーと目が眩むほどのアクションスターたち。しかも、シリーズが進むたびにジャン・クロード・ヴァンダム、メル・ギブソン、ハリソン・フォードなど、さらに続々と主役級の俳優たちが登場します。これほどのメンバーを集めることができたスタローンには感服ですね。

本作は、バーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)率いる傭兵部隊エクスペンダブルズが様々な任務に挑むというシンプルな設定と、濃密なアクションの連続で構成されています。各キャラクターの色づけにおいても、実際に演じている俳優の性格的な面を考慮しているようですから、俳優たちの関係性、また現代アクション映画史のマップとしても楽しむことができます。

5.『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)

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こちらは『ロッキー』シリーズの新章となる作品です。引退したロッキーが、シリーズの1~4に登場した最大のライバルであるアポロ・クリード(カール・ウェザース)の息子、アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)と出会い、二人三脚で世界チャンプに挑みます。長きに渡りロッキー・バルボアを演じてきたスタローンですが、本作は彼の俳優人生においての集大成になっていると思います。

スタローンはこれまで映画作家として非常に私小説的な映画を作ってきましたが、それにはロッキーというキャラクターが大いに影響しているように思えます。売れない日々が長く続いたスタローンが『ロッキー』の大ヒットにより映画界で一躍スターになった。図らずも映画と現実が合致したのです。この出来事は、背水の陣で脚本を書いたであろう『ロッキー』に対するスタローンの思い入れを一層強めたのではないかと推測できます。ロッキーはスタローンの分身といっても過言ではないのです。

このストーリーやタイトルが示す通り、本作は継承の物語です。しかしそれは映画のストーリーだけに留まりません。これまで『ロッキー』シリーズ1~5の全ての脚本を書いたスタローンですが、本作の脚本を担当したのは弱冠29歳(公開当時)の監督ライアン・クーグラーです。つまり、スタローンはクーグラーに脚本という思い入れのあるポジションを継承したのです。ここで再び映画と現実は合致し、新しい世代へとスタローンのアツさが受け継がれていくのではないでしょうか。

作品の背景がわかれば、よりアツくなれる!

この記事を読んで作品のことを思い出すだけでも体感温度が上がったのではないでしょうか。ぜひスタローン映画を見て、暑い夏をさらにアツくしてみては。とはいえ、くれぐれも熱中症にはお気を付けくださいね!