蒸し暑い夏にオススメ!ハリウッドリメイクされた極寒スウェーデン映画

くりた

「映画なら取りあえずなんでも見る」がモットーの雑食映画ライターとしてほそぼそと執筆活動中。ハリウッド超大作からミニシアター系、過去作から最新作まで幅広くご紹介していきたいと思います。しかし本業はWebデザイナー。

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日本の夏は暑い。特に今年の蒸し暑さには参っている方も多いのではないでしょうか。かく言う筆者もその一人です。そんなときは、やっぱりクーラーの効いた室内で映画にドラマ!これに限ります。ということで今回は、家にいながら旅行気分に浸れて、ついでに内側からもひんやりした気分になれちゃう北欧スウェーデン映画をご紹介します。スウェーデンの映画はミニシアター系が多いので、今回はハリウッドリメイクまでされている人気作を厳選しました。

1.とにかく寒そう、スウェーデンで身も心も氷点下に『ぼくのエリ 200歳の少女』


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子どもの姿のままヴァンパイアになってしまったエリ(リーナ・レアンデション)と孤独な少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)の心の交流を描いた『ぼくのエリ 200歳の少女(2008年)』。同時に、その背景でうごめく猟奇殺人やオスカーに対する学校内での陰湿ないじめにもスポットが当てられています。

ホラー映画のモンスター的な存在として扱われることが多いヴァンパイア。近年では恋愛映画の中でしばしば、報われない恋の相手としても描かれてきました。しかし、本作のヴァンパイアであるエリは非常に複雑なキャラクター。幽霊のような儚さと得体の知れない不気味さを兼ね備え、そうかと思えばビジュアル相応のあどけなさも垣間見える・・・。多面的な彼女の性質には、見る者の居心地を悪くさせるようなリアリティがあります。

また本作の特長は、スウェーデンという国の寒々しさが痛いほどよく分かる背景映像。肌を刺すような気温、冷気が画面からにじみ出ているように感じられます。

『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッドリメイク作『モールス』でさらなる極寒の地へ


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そして、『ぼくのエリ 200歳の少女』をハリウッドリメイクした作品が『モールス(2010年)』です。舞台はアメリカのニューメキシコ州に移っていますが、寒々しい雪景色は健在。

本作でのヴァンパイア役は映画『キック・アス(2010年)』のヒット・ガールでおなじみ、クロエ・グレース・モレッツ。ここではダークでミステリアスな魅力を発揮しています。そして主人公の少年を演じているコディ・スミット=マクフィーはこの作品以降『猿の惑星:新世紀(2014年)』、『X-MEN: アポカリプス(2016年)』など大作映画に相次いで出演した、今もっとも注目される若手俳優の一人。

基本的なストーリーはほぼ同じになりますが、『ぼくのエリ 200歳の少女』は極力説明を排しているのに対し、こちらは語り口がマイルドで理解しやすくなっています。スウェーデン版とハリウッド版を比べてみると双方に良さがあり、同じストーリーとはいえ、見終わった後の余韻はそれぞれ全く異なります。

2.雪に閉ざされた島で繰り広げられる壮絶なミステリー『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』


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スティーグ・ラーソンによる推理小説『ミレニアム』を原作としたミステリー作品、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年)』。

小説『ミレニアム』シリーズは世界的な大ベストセラー。その小説が原作というだけあって、とにかく引きこまれるストーリーが魅力です。先の読めない展開、複雑な人間関係、そして見え隠れする血なまぐさい社会背景。原作の副題は〝女を憎む男〟となっており、スウェーデンでも問題になっている女性嫌悪に端を発した犯罪について、深く切り込んでいる作品と言えます。

映画版はこの後、『ミレニアム2 火と戯れる女(2009年)』、『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(2009年)』と続き、全3部作となっているのですが、続きものと思わずにまずは1本目を見ていただきたい!幾重にも張り巡らされた伏線を回収していく、重厚なミステリーをお楽しみいただけます。

リメイク版はド派手に展開『ドラゴン・タトゥーの女』


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『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のハリウッドリメイク版が『ドラゴン・タトゥーの女(2011年)』。監督は映画『セブン(1995年)』『ファイト・クラブ(1999年)』でおなじみのデヴィッド・フィンチャー。彼のこだわりによって、本作はハリウッド映画ながらスウェーデンで撮影が行われ、フィルムの中の景色は極寒の様相。さらに主演を務めるのはダニエル・クレイグとルーニー・マーラ。超豪華キャストでスウェーデン版よりエンターテインメント色が強くなっており、エンディングも少々ウェットな仕上がりになっています。しかし、本作を推したいのはキャストや監督が派手、というだけの理由ではないのです。

この映画最大の魅力は、凝りに凝ったオープニングのビジュアルです。形を変えてオブジェクトを生み出していく、ツヤのある漆黒。そこに垣間見える炎。まるで液体燃料をイメージさせるような構成は、一触即発の状況をイメージしているのでしょうか。とにかくクールで、オープニング映像としては近年稀に見るクオリティ。本作を忘れがたい作品にした大きな要因だと言えます。

そしてもう1つ、忘れてはいけないのはオープニングに合わせた音楽面でのアプローチ。楽曲を担当するのはナイン・インチ・ネイルズのボーカルであるトレント・レズナー。映画の主題歌は、トレントがレッド・ツェッペリンの楽曲『移民の歌』をカバーし、それを次世代パンクの女王であるヤー・ヤー・ヤーズのカレンOが歌っています。こんな豪華なコラボレーションが見られるのは本作だけ!体の芯から冷え込むような銀世界を舞台にした作品ではありますが、オープニングだけは思わずアツくなってしまいます!

極寒映像を見れば涼しくなること間違いなし!

いかがでしたか?あまりなじみがないかもしれないスウェーデン映画ですが、見るだけで涼しくなれるような作品が目白押しです。暑い日が続く内に、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょう!