【ほろ酔いシネマナビ・3杯目】猛暑に負けるな!ドキドキ&ゾクゾクする映画でヒンヤリとして過ごそう!

さてさて秋も近づいておりますが、まだまだ暑い日々。皆様いかがお過ごしでしょうか。

台風が来たり蒸し暑かったり、はたまた直射日光からくる日焼けを気にしなければならなかったり。夏特有のストレスに嫌気が差して、いっそ涼しくな〜れ!と、ついついエアコンを入れちゃう・・・。そんなあなた。室温を下げる前に、まずはこんな映画で体を芯から冷やしてみるのはいかがでしょうか?

【シックス・センス(1999年)】

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なんだか謎めいたもの&怖いもの見たさが消えない!って気分や感覚、ありますよね。そういう時には、痒い所に手が届くこの映画をチョイスしてみてはどうでしょう。

さて、内容の前に・・・

〜今宵のお酒&おつまみ〜

フローズンマルガリータ と 枝つき干しぶどう、ドライクランベリー

 

【ドキドキする緊張!ゾクゾクする不安!そんな気分を高めたい時に】 

 これから何が起こるの?これは何を意味しているの?・・・と、謎だらけの映画を見るために、クールなフローズンマルガリータを合わせてみてはどうでしょう。テキーラベースなので、喉元を冷やしながらも体を温めてくれて、興奮度が増しますよ。おつまみの枝つき干しぶどうは、甘みや旨みが凝縮されていて、サッパリとした大人の味。引き立て役のドライクランベリーは、やや、ふっくらとした食感で、子供らしさが残ります。でもそこには、この映画のヒントでもある「赤色」も象徴されているのです。映画を見ながら手に取ったクランベリーの赤さを目にすると、思わず「ギャッ!」となるかもしれません。

【隠された事実に気づいたとき、きっとあなたも二度見したくなる!】 

児童心理学者のマルコム・クロウ(ブルース・ウィリス)は、数々の実績を認められ、市民栄誉賞に輝きます。妻のアンナ(オリビア・ウィリアムズ)と共に祝杯をあげていたときのこと。「先生は僕を救ってくれなかった」と言う元患者のヴィンセント(ドニー・ウォルバーグ)にマルコムは銃で撃たれ、ヴィンセントも自殺してしまいます。マルコムの心に大きな傷を残したこの事件。しかし、それ以来アンナとの生活は突然うまくいかなくなり会話をすることさえなくなってしまいます。

思い悩む辛い日々の中、マルコムは「自分には死んだ人の霊が見える」と語る少年・コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と出会います。友達から異常者扱いされ、母親にも自分の力を秘密にし続け、周囲に心を閉ざしているコール。マルコムは、なんとかして彼を助けてあげたいと考え、やがて彼らは心を通わせるように。するとコールは、死者が見えるだけではなく、その霊が自分に何かのサインを出しているのだとも言い始めます。やがてコールと共に少女の霊に遭遇するマルコム。その少女の死には恐ろしい秘密が隠されていて・・・

死者が見える少年とか、突如奥さんとの不和が生じるマルコムの生活とか、少女の幽霊とか。見れば見るほど「どうなってるの〜!?」と内容に食いついてしまう傑作です。そして、周囲に理解されない寂しさや辛さを親子のように埋め合うマルコムとコールの姿には、なんだかしんみりとさせられますね。コールは少女の霊の無念を晴らすことにより成長し、前向きになっていきます。それならマルコムの問題も解決しなくては!奥さんとの関係はどうなるのでしょう。2人の愛は永遠なのでしょうか。
 

 
この映画には「赤色」というキーワードがあります。教会のドアやコールの洋服のボタン、マルコムが近くにいるときのアンナの洋服などなど、本当に細かいところにも多用されています。その意味は・・・ややネタバレになってしまいますが、「生と死の境目」「霊の足跡」とでもいいましょうか。そして、要所で登場人物から吐かれる「白い息」。ここにも注目すると、驚くべき真実にたどり着くかもしれません。細かいギミックにも注目しながら鑑賞すると、きっと新たな発見がありますよ!
 

 監督のM・ナイト・シャマランは、この映画をきっかけに一気にスターダムへ駆け上がりました。その後発表された『アンブレイカブル(2000年)』や『サイン(2002年)』でも大成功を収めます。しかし、翌々年の作品『ヴィレッジ(2004)』では賛否両論の評価を得てしまい、それからの新作は残念ながらあまり注目されることはなくなってしまいました。

 コールを演じたハーレイ・ジョエル・オスメントは、当時天才子役として名高く、本作と『A.I.(2001年)』でサターン賞若手俳優賞を獲得しています。ちなみにコールの日本語版吹替え担当は矢島晶子。なんとアニメ『クレヨンしんちゃん』のしんちゃん役です。このギャップはすごい・・・。

 

【人間の持つ命の切なさ、そして生き方と去り方】 

 私たち人間や生き物の全てには「寿命」というものがあります。それを全うするには、やはり心の中の生命も終わらせないといけません。とても悲しいことのようですが、そのサイクルを重ねて、人間や多くの生き物は延々と命の循環を続けていくのでしょう・・・。なんてマジメに語っちゃいましたが、私を含む皆さまそろって、素晴らしい甘味とコクのあるドライフルーツみたいなおじいちゃん・おばあちゃんになれるよう、ステキな歳のとり方ができたらいいですね!そう、カラッカラに干からびてもねッ!!

 

Text:芥川奈於

Illustration:のむらあい
 

芥川 奈於 (あくたがわ なお):動物イラストレーター、コラムニスト。映画、小説、テレビ番組などについて書く。「ねこ新聞」にイラストを連載。WEBサイト「しらべぇ」や「キノノキ」他にてコラムを連載中。新鋭作家との対談や本屋探訪、ユルいラジオも開始予定。曽祖父は芥川龍之介。