ダニエル・ラドクリフがまさかの死体役!?『スイス・アーミー・マン』監督インタビュー

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ダニエル・ラドクリフが死体役!?

『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフが主演を務める青春・サバイバル・アドベンチャー映画『スイス・アーミー・マン』が、9月22日(金)に日本上陸!なんとあのダニエルが「死体」という衝撃の役どころを演じているということで、世界中で大変話題となっています。

なんと本作は2016年のサンダンス映画祭で最優秀監督賞を受賞。シッチェス・カタロニア国際映画祭では作品賞&主演男優賞をダブル受賞、さらにヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭では観客賞に輝き、他にも数々の賞でノミネートされています。本作で映画デビューを果たした監督デュオ「ダニエルズ」が放つ独特の映像美と躍動感溢れる音楽が素晴らしく、またコミカルな演出の中で垣間見える、死体と青年ハンクの友情が涙を誘います。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

作品概要

無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。その力は次第に強まり、ついに死体は勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ不思議な死体の名前はメニー。苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。2人は「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束。果たして2人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

監督デュオ「ダニエルズ」にインタビュー

今回は、DJスネークとリル・ジョンの楽曲『Turn Down for What』でMTVビデオ・ミュージック・アワードの最優秀監督賞を受賞し、第57回グラミー賞最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた経歴を持つ、本作の監督デュオ「ダニエルズ」のお2人(ダニエル・シャイナートさんとダニエル・クワンさん)にインタビューしてきました!

実は言い合いの絶えないでこぼこコンビ!?

初の長編作ということですが、仕上がった時はどんな気持ちでしたか?
とても怖かったよ。すごくリスクを伴う作品だったし、お客さんたちがどんな反応をするか検討もつかなかったからね。だけど幸いなことに何事もなく作品を世に送り出せたし、僕たちはこの作品がとても好きだ。誇りに思ってるよ。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

お2人はコンビで活動されていますが、役割分担などをされているのですか?
たまに入れ替わったりもするけど、シャイナートはスケジュールや予算の管理、クアンは編集や脚本に力を入れているよ。基本は、お互いが一番興味を持っていて熱中できることをするようにしてるんだ。
なるほど!とはいえ、お二人で活動されてるわけですよね。熱中するあまり意見がぶつかってしまう時などはないのですか?
いつもだよ。毎日!(笑)建設的に話を運ぼうとはしてるけど、お互いに厳しくすることでベストな結果に持っていけたらって思っているんだ。だから言い合ったりすることもあるけど、現場では友好的にやっているんじゃないかな。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

一見シンプルでバカらしい。だからこそ描けるもの

本作はコミカルなストーリーではあるものの、同時に生きる意味などの強いメッセージも感じられます。今回の映画で特に伝えたかったことは何ですか?
あまり多くの意味を含ませようとしたつもりはないんだ。クレイジーなことやバカらしいことを、ちょっとでも意味あるものにしようと努力したつもり。
確かに、死体からガスが出ていたり、現実離れした仕掛けには思わず吹き出しそうになります(笑)。
人はみんな恥ずかしいところを持っていたり、それによって人から自分を遠ざけたりすることがあるよね。オナラというシンプルに面白くて恥ずかしいものを使って、そういった隠したくなる部分を描くことに力を入れていたんだ。
誰もが隠したがる部分を、あえてコミカルに描いているのですね。ですがそれだけに、配役はとても難しかったと思います。キャスティングの決め手や、オファーを受けた時の彼らのリアクションは?
もともと2人とも、ダニエルとポールの熱烈なファンだったんだ。とてもおかしな映画だけど、才能ある人たちがバカらしいことをやるからこそ良いと思ったんだ。セレブの人たちは時々映画のストーリーまで変えてしまうことがあるけど、彼らは歌もダンスもできるしね。OKしてもらえないかもと思っていたけど、脚本を読んだうえで快諾してくれたんだ。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

丸一日の撮影が40秒に!?「死体を演じる」苦労

サバイバル要素だけではなく、「死体との友情」という独特なテーマも持つ本作ですが、一番大変だったことは?
良い質問だね。ダニエルが海上を突き進むシーンは、ボートに繋いだサーフボードの上に彼が乗ったんだけど、安全のためにスタントが近くでジェットスキーに乗っていたし、後ろに救出用のボートも用意していたんだ。たった40秒のシーンだけど、あのシーンだけで1日かかった。
1分にも満たないシーンに丸一日・・・!繊細で難しい撮影だったのですね。
その甲斐あって、とても力強くて美しいシーンになったと思ってるよ。ダニエルは泳げないから、スピーカーから音楽を流したりしてリラックスしてもらいながら撮ったんだ。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

自分から動ける役ではありませんし、特に大変な演技だったと思います。ダニエルは他にも死体として引きずられたりしていましたが、何か撮影で予期せぬ動きがあったり、予想外の事態などはありましたか?
彼はもともと人が驚くことをするのが大好きで、一つのテイクで同じ動きは二度としなかったから、たくさん驚かされたよ。
すごい!
それから、自分でスタントをやりたいと申し出てきた、泡が口から出てくるシーン。その時、頭を打った音がしたから「頭を打った?」と聞いたら彼は「打ってないよ」と答えたんだけど、本当は打っていたみたいで。打ったと言ったら撮影が止まってしまうから、彼は「打ってない」と言ったらしいんだ。
ダニエル、体張りすぎ(´;ω;`)!何事もなくてよかった・・・。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

友情が導くラストシーンは、「ダニエルズ」本人たちさえも驚くものに

映画を作るための様々なアイディアがあると思うのですが、どういった瞬間、シチュエーションで思い浮かぶのですか?
何もしないで座ってる時や散歩してる時、2人で話し合ってる時、ジョークを交わしている時にいろんなアイディアが降りてくるんだ。実はもっと多くのアイディアがあったんだけど、使わなかったものもたくさんある。
例えばどんなものですか?
死体のメニーの後頭部に穴が空いていてビームを出せるとか、目が双眼鏡になるとかね(笑)。だけど結局それらはエモーショナルなものにつながらないと思ったからやめたんだ。
なるほど(笑)。メニーの機能は選び抜かれたアイデアということですね。では、本作を撮影するにあたって一番重要視した部分は?
こだわったのはハンクとメニーの友情だね。2人の俳優が現実には仲良くなってくれなくて、作品内の絆がフェイクじみたものになってしまわないか不安だったんだ。ポールとダニエルが仲良くできるかってことには気を使ったよ。2人が自然に親密になってくれて助かった。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

映画の中だけでなく本当に親密なのですね!そんな2人の友情にスポットを当てたストーリーの中で、最終的に、一番思い入れが深くなったシーンはどこですか?
エンディングかな。夕暮れのシーンにするために、日が沈むリミットの1時間半以内に撮影を完了しないといけなくて、色々なバージョンを考えたんだ。結果的にあのエンディングは、自分たちでも驚くようなものに仕上がった。あのシーンのおかげで映画のテンポが良くなったし、話が前に進んだと思ってるよ。


(c) 2016 Ironworks Productions, LLC.

あの感動的なラストシーンには、そんな背景があったのですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
ありがとうございました。

 

ダニエルズ

ダニエル・クワン(Daniel Kwan)とダニエル・シャイナート(Daniel Scheinert)の2人組みの通称。ダニエル・クワンはアメリカ合衆国・マサチューセッツ州で生まれ、アニメーションとグラフィックの業界で働き始め、同国・アラバマ州出身のダニエル・シャイナートと出会った。クリエイティブ・デュオとして彼らは共に監督、編集、VFX、時にダンス、演技、スタントまでも手がける。2014年、彼らはDJスネークとリル・ジョンの圧倒的人気を誇るミュージック・ビデオ『Turn Down for What』でMTVビデオ・ミュージック・アワードの最優秀監督賞を受賞し、第57回グラミー賞最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた。このミュージック・ビデオは今やYouTubeで6億回もの再生回数を上げている(※2017年6月10日時点)。2011年、マンチェスター・オーケストラ『Simple Math』でUKミュージック・ビデオ・アワーズVideo of the Yearを受賞。2012年、バトルス「My Machine」でSXSW映画祭の最優秀ミュージック・ビデオ賞を受賞。2013年には、フォスター・ザ・ピープル「Houdini」で第55回グラミー賞最優秀短編ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた。また、ショートフィルムの制作にも取り組んでおり、革新的な会話劇である『Possibilia』は2014年のトライベッカ映画祭でプレミア上映されフューチャー・オブ・ストーリー・テリング部門で最高賞を受賞。翌年のサンダンス映画祭ニュー・フロンティア部門でも上映された。2015年には、ファッションサイト「DAZED DIGITAL」とのコラボレーションで短編『Interesting Ball』をリリースしSXSW映画祭で上映された。

監督・脚本:ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン(ダニエルズ)
出演:ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
提供:ポニーキャニオン/カルチュア・パブリッシャーズ 
配給:ポニーキャニオン 宣伝:スキップ 
公式サイト:sam-movie.jp
2016年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/97分/
原題:Swiss Army Man/映倫区分:G指定 

『スイス・アーミ・ーマン』は9月22日(金)から、TOHOシネマズ シャンテほかで全国公開となります(公式サイトはこちら)。