食欲の秋とも言われるように、この季節は様々な誘惑があり、涼しさも増して気付けばオウチでゴロゴロしてしまいます。「このままではいけない!」なんて一念発起して、悪習慣を払拭するためにスポーツで体を引き締めようと思ったりもするものの・・・。やっぱり、秋の夜長は映画でも見てゆっくり過ごしたいですよね。
鍛え上げた理想のボディーを求めながらも映画鑑賞をやめられない。そんな皆さまと共に、今宵はこの作品で盛り上がりたいと思います。
【バットマン ビギンズ(2005年)】
『バットマン』には様々なシリーズがあります。原作となっているアメコミはもちろん、ティム・バートン監督が製作した映画『バットマン(1989)』『バットマン リターンズ(1992)』、そして今回取り上げるクリストファー・ノーラン監督の作品群など。そのどれにも共通する点は、やはり主人公=バットマンのたくましさです。シックスパックに割れた腹筋には、腹筋自慢のクリスティアーノ・ロナウドもムムム・・・と唸ってしまうかも。
かっこいいバットマンに負けないように、我々も日々の悪〜い行いに立ち向かおうではないですか!
その前に・・・
〜今宵のお酒&おつまみ〜
エル・ディアブロ と アボカドのスライスをわさび醤油で
【正義の味方ならばコレで悪を倒せ!】
「ディアブロ」の意味は「悪魔」。テキーラがベースで、ちょっぴり怖くて強そうなイメージがある割には酸味のきいた爽やかな口当たりのカクテルです。でもそこには、赤い色に誘われて、ついつい飲み過ぎてしまうという罠も。空腹にアルコールは回りやすいので、おつまみのアボカドを食べて、胃袋を満たしておきましょう。
これで戦闘準備は完了です!
【秘密に包まれたヒーローの意外な過去】
少年時代に古井戸に落ちてしまい、そこから飛び出したコウモリの群れに恐怖を覚えたブルース(クリスチャン・ベール)。ある夜、ブルースはオペラ鑑賞の後に突然、両親を殺害されてしまいます。そんな過去を持った彼は大人になり、両親を殺害した相手に復讐をしようとするのですが、とあることでその機会を失ってしまうのです。自分に失望したブルースは心身ともに鍛えるため、旅に出ることを決めます。修行中に様々な経験をしたブルースは、犯罪に染まった町・ゴッサムシティから悪を撲滅する為に、自分の恐怖の象徴であるコウモリの姿=バットマンに変装して悪を倒していきます。
これぞスーパーヒーロー・アクション映画の王道!といったストーリー。秘密のベールに包まれたバットマンと様々な闇組織、そしてゴッサムに残された正義の象徴である警察官ジム・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)との絡みが絶妙に描かれ、物語にグイグイと引き込まれること間違いなしです。バットマンの秘密兵器や、専用車であるバットモービルのカッコよさに憧れちゃう人もいるのでは?
特筆したいのは、やはりムキムキなバットマン。筋肉マニアにはたまらないカッコよさだと思います・・・でも待って。アナタはバットマンの過去を知っていますか?子供の頃に古井戸に落ちたこと、ではなく、彼を演じているクリスチャン・ベールの過去のこと。
彼は、あの名監督・スピルバーグの名作『太陽の帝国(1987)』で、無邪気な少年ジェイミー・グラハムとしてスクリーンデビューしているのです。舞台は日中戦争さなかの上海、零戦に憧れるジェイミーは戦闘に巻き込まれ両親と離れ離れなり、やがて収容所に送られ、新たな人生を歩み成長していく・・・というストーリー。華奢で白くて、赤い頬のジェイミーがまた可愛らしいのです!それからちょっとした豆知識ですが、結構イイ役の日本人上官として、あのガッツ石松も出演しています。テレビで見せるお茶目な姿とは全く異なり、シリアスで素晴らしい演技を見せてくれています。
それにしてもジェイミーように儚げな美少年が、20年余りの月日を超えてあんなモリモリの肉体俳優になると誰が想像したでしょうか!・・・まぁ、『マシニスト(2004)』では1年間不眠の主人公役を演じるために食事制限をして激ヤセしたり、『ザ・ファイター(2010)』では、歯並びを変えるために自分の歯を抜いたりと、役作りにはストイックといわれているクリスチャン・ベールのことですから、それもアリですよね〜。
【バットマンのように正しく生きていきましょう!】
『バットマン』シリーズを追っていくと、彼が立ち向かうべき様々な困難、それにともなう主人公の進化が見られます。まさにクリスチャン・ベールの生き方そのもののように。
ところで皆さんは、腹筋バリバリでイケメンな彼と、幼さが残る華奢な少年だった彼と、どちらがお好みですか?ディアブロ=悪魔の囁きに負けないように正しいジャッジで選んでみて下さい。う〜ん、悩ましいですな・・・そうこうしているうちに朝がやってきちゃう!コウモリはお休みの時間。代わりに皆さまがバットマンみたいに清く正しく生きていけば全てOK牧場で〜す!!
Text:芥川奈於
Illustration:のむらあい