カメレオン俳優ジェームズ・マカヴォイの豹変っぷりが分かる映画5選

ライター片山香帆 ライター

映画が娯楽の中の最高峰だと信じてやまないライター。映画がすばらしかった時は、眠りにつくまでずっと興奮してます。特に役者や演出に対しては、元・演劇部の影響からか制作の裏側まで想像して興奮してます。

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2017年10月20日公開の映画『アトミック・ブロンド』。主人公ロレーン・ブロートンを演じるシャーリーズ・セロンとタッグを組むのは、スコットランド生まれの俳優ジェームズ・マカヴォイです。2017年に公開になった映画『スプリット』での強烈なインパクトから、その名前を知った人もいるのではないでしょうか?
 


ジェームズ・マカヴォイ公式アカウント(@jamesmcavoyrealdeal)より
 
甘いマスクも人気の理由だと思いますが、実はかなりの演技派俳優。そんな彼のカメレオン俳優っぷりが分かるおすすめ映画を5つ紹介します。

1.『ペネロピ』(2008年)


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クリスティーナ・リッチ演じるペネロピの、豚の鼻と耳が印象的なこの映画。おとぎ話のような独特な映像美と心あたたまるストーリーで、公開から10年近くたった今でも人気があります。この作品でジェームズ・マカヴォイが演じるのは、名家出身の青年マックスです。豚の耳と鼻がついたペネロピの顔を見ても驚かなかったマックスに、ペネロピは心を引かれるようになり、マックスもまたペネロピを想うようになります。

マックス役の彼の魅力は、影を感じさせる表情や雰囲気にあります。というのも、実はマックスの“名家出身”という設定には裏があり、ペネロピと話す時の表情は優しげでありながら、目の奥にどこかうすら暗いものが見え隠れするのです。しかし、それがまた彼の甘いマスクを際立たせるスパイスとなっています!王子様のようなジェームズ・マカヴォイを見たいなら、この映画がおすすめです。

2.『ウォンテッド』(2008年)


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どこにでもいる若者が殺し屋集団と出会い、仕事を教わることで、殺し屋としての才能を開花させていく姿を描いた物語。ジェームズ・マカヴォイは殺し屋として覚醒する青年ウェスリーを演じます。作品冒頭、しがない経理事務の社員ウェスリーは、アンジェリーナ・ジョリー演じる殺し屋フォックスと出会うことで、自分の才能や力を学んでいきます。

会社勤めをしているウェスリーの鬱屈した毎日に対し、映画後半の立派な殺し屋となり才能を爆発させるウェスリーの解放感は爽快で、この対比が面白いんです。サクセスストーリーとも取れるようなウェスリーの成長っぷりを表現する演技力が、とにかく見もの。徐々に力をつけ、強くなっていく主人公を見るのが好きな人には、この映画をおすすめします。

3.『X-MEN フューチャー&パスト』(2014年)


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アメコミ映画の中でも大人気の『X-MEN』シリーズ。ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンとともに活躍する地上最強のテレパスがプロフェッサーXです。ジェームズ・マカヴォイは、そんな彼の若かりし頃を演じています。

プロフェッサーXは『X-MEN』シリーズで地上最強のテレパスとして描かれていますが、若かりし頃は精神的に未熟です。ミュータント学園の運営に失敗したこと、人間に対する考え方の違いから別々の道を歩むことになった親友マグニートと妹のように愛していたミスティークを失ったこと、それらに追いつめられた彼は、酒を飲み、やさぐれてしまいます。彼の何もかもを投げ出し、諦めたような表情がたまりません。彼の心の迷いや葛藤、そして人類の未来とミュータントを守るため、徐々に立ち直っていく姿は、ジェームズだからこそ演じられると思うほど見事に表現されています。ぜひとも、パトリック・スチュワート演じる、貫禄に満ちたプロフェッサーに至るまでの軌跡をたどってみてください。

4.『フィルス』(2013年)


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ジェームズ・マカヴォイが演じるのは“汚職”刑事ブルース・ロバートソンです。と言っても、残業を不正申告したり、同僚や友人を陥れたり、売春やアルコール、コカインにガンガン手を出したりといった、大事件にならない小さな汚職が多いのが笑えるところ。そんな彼は、日本人留学生殺人事件をきっかけに、出世しようと事件に関わりを持つのですが、徐々に自分の過去と向き合うはめになります。

ブルースは本当に信じられないほどのクズで、子ども相手に中指を立てることもあるかなり過激な男なのですが、過去の自分と向き合う中で、“自分が精神的に追いつめられていた”ということに気づきます。映画の後半では、ジェームズ・マカヴォイの衝撃的な姿を見ることになるでしょう。見ている側を「共感はできない、だけど切ない」という複雑な感情に導けるのは、確かな演技力があってこそです。

5.『スプリット』(2017年)


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ジェームズ・マカヴォイは、23の人格をもつ解離性同一障害の男を演じています。その男に少女3人が誘拐され、その場から逃れようとするというホラーテイストの映画です。大抵の海外ホラーのように突然驚かせるのではなく、得体の知れない恐怖がジワジワと迫ってくる演出となっています。

多重人格者を演じるのはかなり難しいと思うのですが、ジェームズ・マカヴォイは数々の人格を見事に表現しました。作品を見ていると、今どの人格なのかがはっきり分かるのです。インタビューでジェームズ・マカヴォイは撮影をふり返り、「観客だけでなく、自分も演じていて頭がおかしくなりそうだった。そのため、ただ別の人格を演じるだけでなく、それぞれの役割や行動の目的も考えて演じ分けた」と語っています。

登場する人格の中には、少女たちに対して直接的な悪意を持っていない人格もあります。しかしそれが逆に、入れ替わった瞬間の不気味さを際立たせるのです。その人格ごとのギャップを演じわけ、見る者を恐怖に陥れる演技力には、恐れ入ります。

ジェームズ・マカヴォイの豹変っぷりに期待!

次回作『アトミック・ブロンド』では、シャーリーズ・セロン演じる女スパイと対立しながらも絶妙なコンビネーションを築いていく相棒を演じるとのこと。今までの作品の中で最もワイルドな役かもしれませんね。カメレオン俳優ジェームズ・マカヴォイの豹変っぷりに今後も期待です!