アメリカで今一番人気のテレビドラマは『ストレンジャー・シングス』、次点は『ウォーキング・デッド』。Netflix、Amazonなどストリーミングサービスも含め、視聴率ではなく、どの番組が一番人々を夢中にしているかの調査で、そんな結果が出た。調査を行ったのは、データ会社パロット・アナリティクス。結果は、ソーシャルメディアでどれだけ話題になっているか、批評家や視聴者の評価はどうか、写真やリンクがどれほどシェアされているかなど、多くのことを基準に割り出される。たしかに、上位10位の番組はどれも、メディアでもFacebookやTwitterでもしょっちゅう見かけるタイトルだ。
Stranger Things公式Instagram(@strangerthingstv)より
この調査は2年前から行われているということだが、これは11月6日段階のもので、3位は、今シーズン、記録的な視聴率でスタートした『ゲーム・オブ・スローンズ』だった。続いて、新番組の『スタートレック:ディスカバリー』、『PREACHER プリーチャー』、『マインドハンター』が並ぶ。その後はロングランのコメディ『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』、エレン・デジェネレスの昼間のトーク番組『The Ellen DeGeneres Show』。9位と10位は、大人向けアニメ『Rick and Morty』、セス・マクファーレンが主演とプロデューサーを兼ねるSFパロディ新番組『The Orville』だった。
『ストレンジャー・シングス』は視聴者数でも優れた結果を出している。Netflixは、これまでダウンロード数を公表してこなかったが、先月末のこの番組の第2シーズンの配信開始に関しては、リリースから24時間以内に36万人が全9話をダウンロードしたと発表した。また、マーケティング・リサーチ会社ニールセンの調査でも、配信開始から3日以内にアメリカで1,500万人が第1話を見たことがわかっている。
Star Trek Discovery公式Instagram(@startrekcbs)より
『スター・トレック:ディスカバリー』では『ウォーキング・デッド』のサーシャ役ソネクア・マーティン=グリーンが主演を務める
一方で『ウォーキング・デッド』シーズン8、第1話の視聴者数は、シーズン6、シーズン7の放送開始に比べてダウンした。10月の最終週、第2話の回はさらに下がったが、その日の同じ時間には、大リーグのワールドシリーズ第5戦と、アメフトの試合が放送されており、録画して後に見た人も、相当にいたと推測できる。また、『ウォーキング・デッド』をアメリカで放送するAMCが、最近、番組をコマーシャル抜きで見られる有料の会員制サービス、AMCプレミアを立ち上げて、順調に会員を増やしているのも留意すべき点だろう。コマーシャルがないことから、テレビ放送と同時に見始めると先に最後まで見られるため、熱烈なファンならこちらで見ている人も多いかもしれない。
ところで、パロット・アナリティクスのトップ10に入った多くが、ホラー、SF、アクションなど男性視聴者寄りの番組なのはおもしろい。もちろん、『ストレンジャー・シングス』や『ゲーム・オブ・スローンズ』は女性にも受けているが、圧倒的に女性向けなのは、エレン・デジェネレスのトーク番組くらいだ。『セックス・アンド・ザ・シティ』くらい女性たちを熱狂させる新ドラマが、そろそろ出てきてほしいところである。
『ウォーキング・デッド』シーズン8は、FOXにて毎週月曜午後10時ほかで放送中!(詳細はこちら)

猿渡由紀/L.A.在住映画ジャーナリスト
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、日本のメディアに寄稿。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。