日本から来る友人にニューヨークで何を食べたらいいかよく訊かれる。ピザやベーグル、ステーキやカップケーキ、NYの屋台メシ「チキンオーバーライス」など日本のガイドブックに載っている料理やレストランに大体ハズレはない。ガイドブックにはまだ載っていなくて、ここ最近ニューヨークで話題を集めている食べ物は、圧倒的にインスタ映えするものが多い。しかし見た目で人気が出た食べ物は、行列に並び食べてみても味は意外に普通だったり、ガッカリさせられる事がある。
そんな中、数多くのフードトレンドが生まれるニューヨークで私が今最も注目している食べ物は「クロワッサン」だ。クロワッサンと言えばヨーロッパのイメージがあるが、世界中の食べ物が集まり交差して独自の新しい形として生まれたニューヨークのクロワッサンは、新しく見た目も味も中々イケている。ニューヨークに来て最初にはまったクロワッサンは、アーモンド・クロワッサンだった。クロワッサンの上に、アーモンドクッキー生地がのっていて、全体的にしっとりとした食感で、味は杏仁豆腐を彷彿とさせる。食べ応えもかなりあり、食事代わりになるぐらいのボリュームだ。スターバックスを始め、どこのカフェにも大体置いてあるぐらいニューヨークで地位を獲得している。
続いてはまったクロワッサンは、世界的に有名なフレンチシェフ、ダニエル・ブールーが経営するパン屋、エピスリー・ブールーのチョコレート・ラズベリー・クロワッサンだ。赤いストライプの模様が入ったクロワッサンは見た目がまず可愛い。サクサクの外側を半分に割るとクリーミーで上質なチョコレートとラズベリージャムがトロッと中から出てくる。チョコレートはカカオ61%の少しビターな物を使っていて、全体のバランスが抜群に良い。これは、その場で1つ食べて、さらにいくつかテイクアウトしたくなるぐらいの美味しさだ。ここのクロワッサンは、ニューヨークマガジンを始めとする数多くのグルメ雑誌が絶賛していて、私も食べると1日がハッピーになる。
Epicerie Boulud 公式 Instagram(@epicerieboulud)
赤いストライプが特徴のエピスリー・ブールーのチョコレート・ラズベリー・クロワッサン
そしてここ最近、ニューヨーカー達の間で話題になっているのが、スーパームーン・ベイクハウスというベーカリーが作るクロワッサンだ。見た目が食べ物というよりもアートなのではないかというぐらいポップでお洒落。ピスタチオ、ストロベリー、チョコレートなど定番の味に加えて、季節やイベントごとに様々な味が登場する。
Supermoon Bakehouse 公式 Instagram(@supermoonbakehouse)
もはやアートのような美しいスーパームーン・ベイクハウスのクロワッサン
週末ともなると朝から行列を作っていて、3時頃には売り切れる。私は、3度足を運んでやっと初めて店に入り、クロワッサンを楽しむことができた。クロワッサンの醍醐味とも言える外のサクサク感と中のしっとり感は、パーフェクトで本格的な味わいだ。使うバターにこだわっているからこそ、このサクサク感が出せるのだと店員は言っていた。中でも緑の縞模様が入ったピスタチオ・ローズクロワッサンは、中に入っているピスタチオクリームの風味が豊かで想像以上に美味しかった。
その他にも見た目が真っ赤なレッドベルベッドケーキ味のクロワッサンや、バースデーケーキ味のクロワッサンなど、次から次へと新しいクロワッサンが登場している。この自由な発想が生まれるのも様々な個性と文化が混じり合うニューヨークならではなのかなと思う。

Kay/NY在住TVコーディネーター&プロデューサー
日本のFOXチャンネルで約7年に渡りエンタメ情報番組のプロデューサーを経験した後、フリーランスに。現在はNYを拠点に活動中。アメリカのエンタメと美味しい食べ物をこよなく愛し、NYの最新情報を収集・探検する毎日を送っている。