From NY:第60回グラミー賞授賞式をニューヨークからレポート!

世界最高峰の音楽の祭典、第60回グラミー賞授賞式が1月28日(現地時間)にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで盛大に行われました。ニューヨークでグラミー賞授賞式が行われるのは15年ぶりということもあり、何日か前から街中の至る所でパーティや関連イベントが行われ、音楽好きにはたまらないお祭り騒ぎのような1週間になりました。

 

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COMPLEX公式Instagram(@complex)より

 
今回のグラミー賞は、ニューヨーク出身のラッパーで最多8部門にノミネートのジェイ・Zが果たして何部門で受賞できるか?そして人種とジャンルの多様性に満ちていたノミネートの結果はどうなるのかに注目が集まりました。結果は、最多ノミネーションのジェイ・Zは受賞なし。今回ノミネートされていたアルバム「4:44」は、現代のアメリカにおける黒人差別や私生活の告白など非常にメッセージ性が強く、音楽のアレンジもずば抜けて格好良かっただけに、受賞ゼロというのは少し残念で納得のいかない結果になりました。多くのファンもツイッターで不満をつぶやいています。同じくラッパーで授賞式のオープニング・パフォーマンスも勤めたケンドリック・ラマーは5部門で受賞。パフォーマンスには、U2のボノ、ジ・エッジ、そしてコメディアンのデイヴ・シャペルが参加してメッセージ性の強いパワフルなステージを披露しました。

 

Billboard公式ホームページ(https://www.billboard.com/)より

 
その他にも、音楽の力を感じさせるパフォーマンスが数多く披露された今回のグラミー賞。ピンクやレディ・ガガが圧巻のパフォーマンスを見せた他、2部門でノミネートされていたケシャがシンディ・ローパーやカミラ・カベロなどと共に彼女のヒット曲「Praying」を披露。アーティスト紹介をしたジャネル・モネが、セクハラ問題や男女平等を求める素晴らしいスピーチをし、その後にパフォーマンスをしたケシャは昨年、自身もレーベルのボスからセクハラを受けていたことを発表し訴訟を起こしています。そんな彼女の力強く訴える歌声に、司会者ジェームズ・コーデンも涙ぐんでいました。さらにマンチェスターのコンサート会場爆破事件とラスベガスでの銃乱射事件の被害者のために行われたトリビュートパフォーマンスでは、スクリーンに犠牲者の名前が映し出されました。パフォーマンスの他に私にとってのもう一つのハイライトは、人気番組『X-Factor USA』出身のカミラ・カベロがU2の紹介の際に行った移民に関するスピーチ。キューバ・メキシコ系移民の両親を持つ彼女は「移民の子供であることを誇りに思う、そしてそんな自分がニューヨークでグラミー賞のステージに立てたことを誇りに思う」と語り、日々アメリカで非アメリカ人として生活する私の心に、かなり響くものがありました。

 


Recording Academy / GRAMMYs公式Instagram(@recordingacademy)より
年間最優秀楽曲ほか6部門を受賞したブルーノ・マーズ

 
今年のグラミー賞の主役は、主要3部門と言われる、年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲の全てを受賞したブルーノ・マーズ。さらにノミネートされた全6部門すべてで受賞するという快挙を成し遂げました。他のノミネート作品が、政治色が強かったりメッセージ性の高い楽曲が多かった中で、ブルーノの『24K Magic』はハッピーな作品だったため、結果に不満を示すメディアもちらほら…。ブルーノは受賞スピーチで「15歳の頃、ハワイで1000人近い観客の前で様々な楽曲を歌った時に、会場で知らない人同士が一緒に踊って、乾杯してお祝いしていたのを覚えていて、それをこのアルバムでやりたかった。愛のために書いたこのアルバムを聴いて、みんなに踊ってもらいたかった」と語りました。確かに今回のアルバムはどの曲をとってもポップで聴き心地が良く、ハッピーな気分にしてくれるので混沌とした今にはぴったりだったのかもしれません。

 
素晴らしいパフォーマンス、感動的なスピーチに加え、第60回という節目の年にふさわしい素晴らしい授賞式でしたが、女性の受賞が圧倒的に少なかったのには少し驚きました。全86部門中、女性が受賞したのは、17部門のみ。女性として最多ノミネートされていたR&B界の新たな歌姫SZA (シザ)も結局は無冠。レディ・ガガ、ケシャ、ロードなども受賞には及びませんでした。力強くメッセージ性の強いアーティスト達の意志とはうらはらに、レコーディング・アカデミーの体質を疑問視する声も聞こえてくるグラミー賞となりました。

 

Kay/NY在住TVコーディネーター&プロデューサー

日本のFOXチャンネルで約7年に渡りエンタメ情報番組のプロデューサーを経験した後、フリーランスに。現在はNYを拠点に活動中。アメリカのエンタメと美味しい食べ物をこよなく愛し、NYの最新情報を収集・探検する毎日を送っている。