KOMBUCHAの次はMATCHA?抹茶ドリンクのメーカーが、L.A.のヘルスコンシャスに、猛烈なアプローチをかけている。緑茶をベースにしたラテは、L.A.では以前からスターバックスやピーツ・コーヒーなどメジャーなコーヒーハウスのメニューに入っていた。だが、「MATCHA」という言葉を前面に押し出したドリンクが目立ち始めたのは、比較的最近のことだ。
ニューヨークからやって来た専門店、MATCHABARがL.A.にも誕生
今では、ホールフーズマーケットなど、主要なナチュラルスーパーの棚に、複数のメーカーによる、さまざまなフレーバーのボトル入り抹茶ドリンクが多数取り揃えられている。L.A.の中でもトレンディなシルバーレイク地区には、「MATCHABAR」の3店舗目となるカフェもオープンした。ニューヨーク発祥のこの店では、各種抹茶ドリンクのほかに、抹茶入りのスイーツなども並ぶ。
シルバーレイクに出来たMATCHABARのオシャレなファサード
MatchaBar Slver Lake
https://matchabarnyc.com/
3534 Sunset Blvd, Los Angeles, CA 90026
TEL:323-522-6810
これらの商品が強調するのは、低カロリーであることと、エネルギーを与える効用があること。また、代謝を促進することからダイエットの手助けになる、アンチオキシダント効果が老化防止に良い、などともうたわれている。ウィートグラス(小麦若葉)を想像させる深いグリーンの色もいかにも体に良さそうで、ジムに通いに熱心な都会の現代人の心をつかむ要素は、ばっちりだ。
ただ、子供の頃から緑茶に親しみ、アイスクリームやお菓子にも普通に抹茶フレーバーがある日本と違い、多くのアメリカ人にとって緑茶の苦味や渋みは、やや抵抗があるもの。そのままで飲んで美味しいと思うのは、おそらくひと握りの通だろう。蜂蜜やミントで味をつけているのも、そのための工夫。クリーミーな抹茶ラテは、まさに足慣らしにふさわしいと言える。MATCHABARは、普通の抹茶ラテのほかに、ターメリック、黒胡椒、生姜を入れ、スパイスを効かせたゴールデンラテというのも出している。
MATCHABARで人気の抹茶ラテは、飲みやすさが初心者にもGood!
MATCHAは、先行して人気のKOMBUCHAに取って代われるか?
一足先にL.A.の人々の心をつかみ、今やすっかり市民権を獲得したKOMBUCHAも、最初から万人受けするというより、慣れると病みつきになるタイプのものだった。だが、こちらは紅茶を糖で発酵させたドリンクなので(名前は似ているが、アメリカで流行しているKOMBUCHAは、昆布茶ではなく、紅茶キノコである)、クセは少なく、甘みもある。その上さらに、ストロベリー、洋梨、ピンクアップルといった、いかにも楽しそうなフレーバーがわんさかと出たのだ。この勢いは、今もまるで衰えを見せていない。
KOMBUCHAがうたう健康への効用は、プロバイオティクス。つまり体に良いバクテリアが売りで、常に冷蔵保存しなければならないというのが、若干不便だ。持ち運びの点では、MATCHAの方がやや有利といえる。値段はどちらもだいたい同じとあり、試しに一度と買ってみた人が、次も続けて買ってくれるかどうかが、成功への鍵となるだろう。果たしてMATCHAは、健康志向の高いL.A.の競争を潜り抜け、定番のドリンクへと成長していくだろうか。

猿渡由紀/L.A.在住映画ジャーナリスト
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、日本のメディアに寄稿。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。