ヨガやスピニング、ピラティス、ジム通いをする女性の中には、きっと感じたことがある人が少なくないはず。運動は気持ちいいけれども、汗をかいた後に下着が汗で肌にくっつくのは、どうも気持ちが悪い。いや、気持ちが悪いだけならば、まだ我慢できる。場合によっては、それが肌荒れなどのトラブルを起こすこともあるのだ。
ヨガやピラティスが大ブーム!でも、運動中の下着について考えたことはありますか?
アクティブな女性のための下着ブランドQUOの創設者ステイシー・ハンターさんによると、運動の時、パンティを着けない女性は、全体の4割もいるそうである。実を言うと、ヨガ歴18年の筆者も、長い間そうだった。下着の線が見えないよう、多くの女性同様、ソング(Tバックのような、背面の布が少ないショーツ)をはいていたところ、後ろの細い部分が擦れて肌荒れを起こしてしまったのである。皮膚科に行くと「ソングをはいていますか?だったらやめなさい」と言われ、だが、他のものだと線が出てしまうので、何もはかないという方法しかなかった。数年前から、あるヨガウェアブランドから出たものをはくようになっていたが、あくまで妥協である。
ステイシー・ハンターさんが開発した、縫い目のないショーツ「QUO」(24ドル)
だから、ステイシーさんが開発したこの下着には、心底、興奮してしまった。QUOは、どこを見ても画期的だ。素材は、汗を即座に吸収するナイロンスパンデックス。1サイズしかないが、伸縮性抜群で、たいていの女性は問題なくフィットする。縫い目がまったくなく、1枚で作られているのを見ただけで、過去に擦れるトラブルを経験した筆者はすでに安心したのだが、使ってみたら本当に快適だった。布地が厚めでしっかりしているため、はいた時は装着感があるが、動いているうちに馴染んで、着けていることを忘れる。そして、汗を驚くほど吸収するため、不快感はゼロなのだ。さらに、普通のパンティにある、中央の、布が二枚重ねになっている部分が、ない。この“ポケット”は、ステイシーさんに言わせると、コスト削減のためにあるもの。これがあることでバクテリアの温床がさらに増えるのだ。
画像中央の股部分に縫い目がないため、快適な着用感で運動ができる
ステイシーさんが狙う、新たなインナー市場はスポーツブラ
ステイシーさんは、ランジェリー、水着、アクティブウェア業界で25年の経験を持つベテラン。Victoria’s SecretやGAPでも仕事をしてきた。L.A.に移住してからは、この業界のコンサルタントを務めていたが、4年ほど前から、ヨガやスピニングのスタジオで、女性たちがどんな下着を着けているのかに注目し始めたのだという。もちろんそれは、ステイシーさん自身が、普段の下着のままでそれらの運動をすることの弊害を感じていたからだ。汗だらけになるコットンの下着を着けるよりも、下着なしの方がまだ衛生的だが、「特にスピニングクラスでは、誰が座ったか分からない自転車の上に座るのだから、しっかり守ってくれる下着が欲しい」と思い、女性のための解決策を生み出したいと決めたのである。
そんな彼女は、すでに、ほかの問題にも取り組んでいる。本人がソング嫌いとのことで、もうすぐ、ソングではなく、しかも線が見えないタイプがデビューする。その次は、スポーツブラ。しっかり胸を抑えてくれつつ、動きやすさ抜群だという、私たちが求めていた夢のようなブラも、まもなく登場予定とのこと。それらを試すのが、今から待ちきれない。
QUO公式ホームページはこちかから:https://quoactive.com

猿渡由紀/L.A.在住映画ジャーナリスト
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、日本のメディアに寄稿。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。